05.17Sun/日

LOCARI(ロカリ)

長崎・雲仙温泉へ。雲仙地獄を望む「界 雲仙」ひとり旅

東京から約4時間半。飛行機で長崎へ向かい、さらに車で約1時間半。島原半島にある「雲仙温泉」は、白い湯けむりに包まれた、山に囲まれた高台に広がる温泉地です。

今回訪れたのは、雲仙地獄に面して建つ「界 雲仙」。温泉や食事を楽しむだけでなく、この土地の自然や文化にふれながら、自分のペースで過ごせる滞在が魅力の宿です。

温泉に入って、外を歩いて、また湯に戻る。客室の露天風呂もあるから、好きなタイミングで入って休んでを繰り返せるのも魅力です。忙しい毎日から少し離れたいときにぴったりの、ひとり旅の2日間をレポートします。

東京から約4時間半。長崎空港から雲仙へ向かいます

空港で佐世保バーガーを味わってから送迎バスへ

長崎空港に着いたら、国内線出口を出てすぐ目の前にある「LOG KIT」へ。1973年に佐世保で誕生したダイナーで、界 雲仙の無料送迎バスを待つあいだに立ち寄りやすい一軒です。

ビーフ100%のパティに、トマト、目玉焼き、ベーコン、レタス、チーズを重ねたスペシャルバーガーは、しっかりと食べ応えがあり、移動前の食事にもちょうどいい満足感。

その後は、「界 雲仙」の送迎バスに乗って雲仙へ向かいます。

界 雲仙に到着。まずはロビーでこの土地の空気にふれる

目の前に広がる雲仙地獄に、到着した瞬間から気分が高まる

宿に到着してまず目に入るのは、もくもくと湯けむりが立ちのぼる雲仙地獄。一気に非日常の景色が広がって、ここから旅が始まる感覚がありました。

ロビーは赤を基調にした印象的な空間で、目の前に広がる雲仙地獄とあわせて、ここでしか味わえない景色が広がります。

館内でも感じる、長崎らしい和華蘭文化

「界 雲仙」で大事なキーワードになっているのが「和華蘭」。日本の“和”、中国の“華”、オランダなど西洋文化の“蘭”が混ざり合って育まれた、長崎ならではの文化です。

館内には、島原木綿やステンドグラスなどが取り入れられ、異国情緒を感じる空間に。さまざまな文化が交わってきた長崎の背景を、滞在を通して感じられます。

まずは「温泉いろは」で、雲仙の歴史と温泉を学ぶ

先に知ることで、このあとの体験がより楽しめる

最初に体験したのは「温泉いろは」。タペストリーを使いながら、雲仙の歴史や温泉の特徴を教えていただきます。

奈良時代から続く温泉の歴史や、島原・天草一揆後の復興、シーボルトによって海外に紹介された背景など、この土地ならではのストーリーを知ることができるんです。こうした話を聞いてから歩くと、雲仙地獄の見え方も少し変わってきます。

学んでから歩く「雲仙地獄」は、印象がぐっと深くなる

白い噴気と硫黄の香りに包まれる、雲仙らしい景色

雲仙地獄は、白い噴気があちこちから立ちのぼり、ぐつぐつと音を立てる景色が広がる場所。硫黄の香りに包まれながら歩く体験は、この土地ならではです。雀地獄では湧き出る音がスズメの鳴き声のように聞こえたり、大叫喚地獄では迫力のある湯けむりが立ち上がったりと、場所ごとに異なる表情があるのも魅力です。

地熱や湯けむりを間近に感じる時間

足元からじんわり伝わる熱や、蒸気のあたたかさを感じながら歩いていると、ここが今も動き続けている場所なのだと実感します。

ご当地部屋「和華蘭の間(客室付き露天風呂)」で過ごす時間

温泉に入る時間を中心に過ごせる客室

界では、その土地の文化を感じられる「ご当地部屋」が用意されています。今回宿泊したのは、ご当地部屋「和華蘭の間(客室付き露天風呂)」。

露天風呂と湯上がり処が中心になったつくりで、温泉に入る時間そのものを楽しめる客室です。

地獄温泉を眺めながら露天風呂に入って、バスローブに着替えて、湯上がり処のチェアでひと休みして、また温泉に浸かる。そんな流れを自分のペースで繰り返せるのが、この部屋のいちばんの魅力でした♡

誰かに気を遣わず、好きなタイミングで温泉に入って、のんびり過ごせるのも、ひとり旅ならではの心地よさです。

和華蘭文化を感じる落ち着いた空間

華やかさはありつつも落ち着きがあって、ひとりでもリラックスして過ごせる雰囲気でした。びいどろを思わせるシャンデリアやステンドグラスなど、“和華蘭文化”を感じるデザインが随所に散りばめられていて、お部屋にいるだけでも長崎らしい異国情緒を感じられました。

夕食は「あご出汁しゃぶしゃぶ会席」。長崎の食を楽しむ夜

落ち着いた半個室の食事処でゆっくり楽しむ

食事処は、長崎の路地裏をイメージしていて全室半個室。ひとりでもまわりを気にせず過ごしやすく、落ち着いて食事を楽しめる空間。

先付けは、「鬼やらい 湯せんぺい豚角煮リエット」

雲仙名物の湯せんぺいを割って食べるユニークな一皿。悪いものを祓い、1年の無事を願う「鬼やらい」をイメージしていて、木槌で鬼をめがけて湯せんぺいを割っていただきます。

湯せんぺいは、温泉水を練り込んで焼き上げる“食べる温泉”とも言われる雲仙銘菓。そのまま食べても素朴でやさしい味わい。

割った湯せんぺいには、島原納豆味噌を合わせた豚角煮リエットをのせて。コクのあるリエットに辛子がアクセントになっていて美味しい♡

「蛤真薯 潮仕立て」で、やさしい一杯

透明感のあるだしの中に、蛤の旨みがしっかりと感じられる一品。真薯のやわらかさと蛤のぷりっとした食感が重なり合います。

卓袱料理の雰囲気を感じる「宝楽盛り」

見た目も華やかで、円卓文化を感じる一皿。太刀魚、ひらす、ほたて、まぐろのお造りに加え、長崎に由来のある料理が並びます。

いぎりすは、酢味噌でさっぱりと、かぶらのすり流しは、柚子の香りが効いたやさしい味。菜の花と小柱のお浸しには梅ジュレがかかり、春らしい軽やかさも感じられました。

ほかにも、利休南瓜の甘みや、古蛸のぷりっとした食感、よもぎ麩の田楽、海老のひばり和え、宝珠玉子など、一品ごとに味わいや食感が異なり、楽しい時間でした。

揚げ物も春らしい軽やかさ

海老蓮根俵揚げや白魚奉書揚げ、じゃがいもとタラの芽など、揚げ物にも季節感がたっぷり。塩レモンでさっぱりいただけるので、後半に入っても重たくなりすぎず、自然と箸が進みました。

メインは「あご出汁しゃぶしゃぶ」

長崎で親しまれる「あご出汁」を使ったしゃぶしゃぶ。野菜を入れて出汁が立ち上がったところに、豚肉やふぐをくぐらせていただきます。

ふぐは身がふっくらとしていて、出汁の旨みをしっかり含んだやさしい味わい。途中で柚子の甘辛い「ゆべし」を加えると、味の変化も楽しめます。

締めは五島うどん。つるっとした喉ごしで、出汁の美味しさを最後までしっかり味わえました。

デザートは「枇杷のかんざらし 界 雲仙風」

びわの爽やかな甘さと白玉のもちもちとした食感が合わさった、軽やかなデザート。うぐいす餡のやさしい甘みも重なって、食後にちょうどいい締めくくり。びわの種の甘露煮も添えられ、最後まで長崎らしさを感じられました。

夜は「和華蘭ラウンジ」で過ごす

ステンドグラスの光に包まれる幻想的な空間

夜になると、トラベルライブラリーは「和華蘭ラウンジ」に。大浦天主堂のステンドグラスの端材を活用し、万華鏡のように光を演出した空間が広がります。

色とりどりの光が広がる空間は、思わず写真を撮りたくなるような雰囲気♡長崎の歴史とガラス文化を感じられる、ロマンティックな夜時間でした。

長崎らしいドリンクとともに

ステンドグラスカクテルミルクセーキなど、長崎らしいドリンクも楽しめます。

ひとり旅でもゆっくりロマンティックな時間を過ごせるのがいいなと感じました。

朝は体を動かして一日をスタート

現代湯治体操で体をほぐす

界オリジナルの体操に加えて、鬼をテーマにした動きも取り入れられているユニークな内容。鬼が目覚めて、体を慣らして、最後はお祭りのように締めくくるストーリー仕立てになっていて、ただ体を動かすだけではない面白さがあります。

タオルを鬼の棍棒に見立てた動きなどもあり、体を動かしているうちに、少しずつ体がポカポカしてくるのも気持ちよかったです。

雲仙地獄パワーウォークへ

朝の澄んだ空気の中で行うパワーウォークは、雲仙ならではの体験。

湯けむりに包まれながら、棒を持って足早に歩く姿は、まるでこれから戦いに向かうような気分に(笑)。

雀地獄や大叫喚地獄などを巡りながら歩くので、場所ごとに異なる景色や音を楽しめるのも面白いポイントです。途中では地面に寝転んでストレッチを行い、地熱を感じながら体をじんわり伸ばしていきます。

ウォーキングの際は、足袋(有料)を履いて参加するのがおすすめ。足元からじんわりと地熱が伝わり、歩いているうちに体が内側から温まっていくようでした。

雲仙地獄の湯けむりや大地の熱を感じながら深呼吸する時間は、この土地ならでは。少しずつ自分のリズムを取り戻せるような体験でした。

雲仙地獄では、猫たちにも癒される

雲仙地獄を歩いていると、あちこちで猫たちの姿も。地熱であたたかいのか、気持ちよさそうにくつろぐ姿に癒されました♡

湯けむりを眺めながら、熱々の温泉卵を

雲仙地獄を歩いたあとは、温泉卵もぜひ。湯けむりを眺めながら食べる熱々の温泉卵は、雲仙らしい楽しみのひとつです。

朝日が差し込む大浴場で、雲仙の湯をゆっくり楽しむ

客室露天風呂とは別に、大浴場で味わう雲仙の湯

客室で好きなタイミングに温泉を楽しめるのも「界 雲仙」の魅力ですが、あわせて入りたいのが大浴場です。

内風呂には、源泉かけ流しの「あつ湯」と、ゆっくり浸かれる「ぬる湯」の2種類があり、そのときの気分や体調に合わせて入り分けられるのが嬉しいポイント。客室の温泉とはまた違った楽しみ方ができるので、滞在中にどちらも入ってみたくなります。

朝の光が差し込む内風呂も印象的

朝の時間帯に訪れると、ステンドグラス越しの光が湯面に映り込み、内風呂全体がやわらかな雰囲気に包まれます。静かな空間の中で朝風呂を楽しめるのが、とても気持ちよくて、1日の始まりにぴったりでした。

庭園を眺めながら向かう時間も含めて心地いい

大浴場へ向かう途中の庭園も印象的でした。館内にいながら、外の空気や景色も感じられるのが「界 雲仙」らしいところです。

露天風呂では、雲仙らしい湯けむりの景色も

露天風呂は、地獄の湯けむりを感じられる岩風呂。内風呂とはまた違った開放感があり、雲仙らしい景色の中で湯に浸かれるのが魅力でした。朝は鳥のさえずりも心地よく、時間帯によって雰囲気が変わるのも印象に残ります。

湯上がりのお楽しみまでしっかりある

温泉のあとは、湯上がり処で橙ほうじ茶やびわ酢をいただいてひと休み。アイスキャンディも用意されていて、お風呂上がりもリラックスして過ごせました。

朝食は「具雑煮朝食」。体にやさしい朝ごはん

長崎みかんジュースから始まり、具雑煮や焼き魚、納豆味噌などが並ぶ朝食。

島原半島の郷土料理である具雑煮は、具材がたっぷり入っていて、体がゆっくり目覚めるようなおいしさ。

焼き魚や卵焼き、なます、利休牛蒡、昆布梅なども揃い、ひとつひとつが丁寧に作られているのが伝わってきます。豚の角煮や島原半島納豆味噌、ミニトマトのジャムが入ったヨーグルトなど、長崎らしい味を少しずつ楽しめるのも魅力。温泉に入った朝にちょうどいい、ほっと落ち着く朝ごはんでした。

トラベルライブラリーで過ごす時間も魅力

雲仙地獄を目の前に、コーヒーやハーブティーを楽しめる空間。九州や長崎にゆかりのある本が並び、お部屋に持ち帰って読むこともできます。長崎の貿易文化にゆかりのある展示もあり、壺や工芸品を眺めながら、この土地の背景に自然とふれられるのも印象的でした。朝の光が差し込む時間帯は特に気持ちよく、湯けむりを眺めながらお茶を飲んでいるだけで、ゆっくりとした時間が流れます。

ご当地楽「活版印刷体験」で旅の思い出を形に

長崎に伝来した活版印刷の歴史を学びながら、実際に活字を組んでポストカードを作る体験も。

文字を選び、バランスを見ながら組み上げていく工程は意外と難しく、きれいに仕上げるには何度か調整が必要でした。

実際に印刷機を使って仕上げると、インクのかすれや圧の違いまで味になり、手作業ならではのあたたかみのある一枚に。旅の記憶を、自分の手で形に残せるのも素敵でした。

温泉街の食べ歩きやお土産探しも、旅の楽しみのひとつ

界 雲仙のすぐ近くで気軽に立ち寄れる

「界 雲仙」は、雲仙地獄や温泉街のお店がすぐ近くにあるので、散策しやすい立地です。ひとりでも無理なく歩ける距離感で、気になったお店にふらっと立ち寄れるのが心地よく感じました。

湯せんぺいソフトもチェック

雲仙名物の湯せんぺいは、温泉水を使って焼き上げる素朴なお菓子。温泉街を散策するなら、黒ごまソフトに湯せんぺいを合わせた「湯せんぺいソフト」もおすすめです。サクサク香ばしい湯せんぺいと、濃厚な黒ごまソフトの組み合わせが相性抜群!歩き疲れたときのひと休みにぴったりです。

長崎らしいお土産探しも楽しい

館内ショップには、長崎らしいお土産もずらり。福砂屋のカステラや、レトロな瓶が可愛い温泉レモネードなど、どこか子どもの頃を思い出すような、懐かしさのあるアイテムが揃っていました。

雲仙の景色にふれて、また訪れたくなる旅へ

客室の露天風呂に好きなタイミングで入り、湯上がりに少し休んで、気が向いたら温泉街を歩く。そんなふうに、そのときの気分で過ごせるのが、ひとり旅のいいところ。

「界 雲仙」は、雲仙地獄やお土産ショップもすぐ近くにあり、館内の体験もひとりで参加しやすいものばかり。初めてのひとり温泉旅でも、気負わず楽しめる距離感がありました。

忙しい毎日から少し離れて、自分のペースで温泉旅を楽しみたい。そんなときに、また訪れたくなる場所でした。

ライター LOCARI YUUKI

アバター画像
この記事のライター

星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」は、「王道なのに、あたらしい。」をテーマに、伝統を活かしつつ現代のニーズに合わせたおもてなしを提供します。地域の伝統文化や工芸を体験する「ご当地楽」や、地域の文化に触れる客室「ご当地部屋」をお楽しみいただけます。